Photographer Chihaya Kaminokawa 神ノ川智早

神ノ川智早

神ノ川智早

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新・幕末純情伝

2012Fri08.03

つかこうへいさん三回忌特別公演のパンフレット撮影をさせてもらいました。沖田総司は、実は美しい女剣士で、彼女に坂本龍馬が恋をしたというお話でした。
幕末に生きた人達が持っていた劣等感、憧れや欲望、執着心や狡さを、坂本龍馬がやさしく深く受け入れる姿が、それはもう、ほんとうにかっこよかったです。
舞台稽古、ゲネプロ、そして本番と3回舞台を見ました。3回が3回ともぜったいに泣いてしまうところが数カ所あり、舞台撮影は大変でした。
貧しい長州の農家でそだった桂小五郎が、泥を食い、米屋の主人を殺して女房を犯し、店を乗っ取り這い上がって来た過去を坂本龍馬は知っていました。桂小五郎の為に長州へ出向いた坂本龍馬が後に、俺は長州で泥を食ってみた。そりゃあ不味かったぜよ。お前、ここまでよくがんばったな。と声をかけるところ。
小さい頃から剣の稽古ばかりさせられ、女として生きられなかった沖田総司を口説くとき、故郷の母親へ宛てた手紙を読んで聞かせる坂本龍馬。
自分はやっと伴侶となる女と出会った。その者は心優しき美しい女である。きっと母上にも優しくしてくれる。土佐を離れるとき母上より預かったかんざしを、その者へ渡す所存である。来年には土佐へつれて帰るつもりだと読み上げます。そして総司に、お前に天から落ちてきそうな大きな月を、降ってきそうなたくさんの星を土佐でみせてやる。母ちゃんの焼いた秋刀魚を食わせてやる、姉ちゃんのつけたべったら漬けを食わせてやる。と言うところ。
人の持つ弱さを責めず、やさしい言葉と行動で愛情を見せる龍馬と、それを受けて変わって行き、それでも時代の流れに逆らえず倒れて行く人たちの物語でした。どの時代でもきっと人の心は変わっていなくて、その本質を描いているからつかこうへいさんの舞台は魅力があるのだと思いました。