ある日の夕方、逗子で撮影のあと葉山の丘の上に引っ越した友人を訪ねた。すぐそこに海が見えて、山の木々に囲まれた静かな新しい場所を心から楽しんでいる彼女に会えてうれしかった。
彼女が夜ご飯に作ってくれたジャガイモとネギのスープグラタン、すごい量のブロッコリーのパスタとサラダを、たくさんの事を話しながらもくもくと食べた。
会話の中で、２人してふと、共通する過去の時間にひきもどされたりした。そしてそれは、過去の時点でばらばらに散らかってしまって埃をかぶり、もうどうにかする事をあきらめていたようなある物を、時間をまたいでそこへ戻り、一緒にきれいに掃除することが出来たような不思議な会話だった。
真面目に話したり笑ったり、少し涙したりしながら、お茶とポッキーも頂いて、最後は真っ暗な坂道をそろりそろりと運転しながら帰った。