Photographer Chihaya Kaminokawa 神ノ川智早

神ノ川智早

神ノ川智早

NEWS

長い廊下

2013Mon11.25

朝いちばんの新幹線に乗って長野へ。撮影で訪れたのは市内にある中学校で、全盛期には1000人の在校生がいたという大きなところだった。撮影の合間に廊下へ出てきょろきょろしていたら、1人本を読み、何かぶつぶつ言いながら歩いている男子を見かけた。クラスメイトらしき他の子達は大抵3人か4人で連れ立って歩いているのに、彼はその後をひとりでぽつんと歩いている。
誰かといつも一緒にいることが当たり前で、それが一番の安全、というような中学校の中で1人でいる彼は、それを自分で選んだのかただそうなってしまったのか。彼が寂しいと思っているのかそうでないのか。何も分からなかったけど、彼の中には何か深い世界が広がっているのだな、1人でいるからこそ、きっとそうなのだろうな、とおもった。

hobonichi+a.

2013Thu11.21

ほぼ日刊イトイ新聞さんで販売している、「hobonichi+a.」という洋服のラインがあり、その冬の新作をレディス、メンズ共に撮影担当させてもらいました。服そのものに個性があるのに、着るとその人にすっと寄り添ってくれる服です。サイトはこちらから。

my first Paris

2013Wed11.13

去年の秋、学生時代の友人を訪ねてはじめてパリへ行った。実際行ってみると、友人は昼間は仕事で忙しく、相手をしてくれたのは彼の奥さんだった。
最初の晩、仕事を終えた友人に、DJをするからとバーへ連れて行かれた。ほぼ真っ暗で、膝を突き合わせて座っていても怒鳴り合わないと相手が何をいっているのか分からないような騒がしいバーだった。彼がDJをしている間、奥さんとぽつりぽつりとどなり合っていたけど、しばらくして「もう出ましょう」と一言彼女が言ってくれてほっとした。
2人きりになるのははじめてだったから少し緊張したけれど、うるさいことろはあまり得意じゃないから、と言う彼女に親近感が湧いた。街灯の照らす道をしゃべりながら一緒にセーヌ川まで歩いて、光るエッフェル塔を眺め、本当に綺麗な街だねと確認し合って、地下鉄に乗って家まで帰った。
それから3日間、彼女と毎日よく歩き、食べて飲んで話した。おかげで、パリと彼女はいつもセットになって思い出される。

母たち

2013Tue11.05

大抵はにこにことしていて優しく、あはは、がははとよく笑い、よく食べ、よく喋る、逞しい母ちゃん友達が私には多い。そりゃあこれから大変なこともあるかもしれないけど、あなた、いいところ選んで産まれて来たね、センスいいよ。と私はそのこどもらを心の中でほめている。でももしかしたら、母ちゃん達がそうでいられるのは、そのこどもらがいるからかもしれないな。とも思う。

飛行機

2013Mon11.04

年に数回飛行機に乗る。今年は何回乗ったかなと数えてみたら14回だった。多くもなく、少なくもなく、なるほどこのくらいかという数。
13年前、サンフランシスコへ行く飛行機の中で一杯だけ白ワインを飲んだ。お酒を飲めばよく眠れるかもしれないと思ったのに、だんだん気分が悪くなってきて2度吐いて、身体が痺れて呼吸困難になった。このまま死ぬのかな、と怖くなって、ちいさな酸素ボンベを口にあててくれたキャビンアテンダントのお姉さんの腕をぎゅっとつかんで離さなかった。
幸い死なずにすんだけど、車椅子に乗せられて飛行機を降り、気付いたらその時していた腕時計を無くしていた。腕時計が身代わりになってくれたとかそういう話ではない。それ以降、どんなに長いフライトでも、飛行機では絶対にお酒を飲まなくなった。という話。